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岩元 大樹; 明午 伸一郎
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011046_1 - 011046_6, 2021/03
核反応で発生する核破砕中性子の収量(核破砕中性子多重度)は、加速器駆動核変換システム(ADS)やJ-PARC等の核破砕中性子源施設の核的性能および遮蔽設計値を決定するうえで極めて重要なパラメータであり、これらの施設設計の信頼性評価では、核破砕中性子多重度の不確かさに関する情報が必要となる。本研究では、ADSおよび核破砕中性子源施設で使用される代表的な4つの標的物質(鉛,タングステン,鉄および炭素)に対して、100MeVから3GeVまでの陽子入射による核破砕中性子多重度の不確かさを評価した。本評価では、過去に世界の加速器施設で測定された陽子入射中性子生成二重微分断面積の実験データをもとに、モンテカルロ粒子輸送計算コードPHITSの核反応モデル計算コードINCL4.6/GEMを用いて統計学的手法により不確かさを求めた。解析の結果、核反応モデルは4標的物質に対して実験値を比較的よく再現するものの、その再現性は標的によって異なり、実験値の不確かさおよび実験値間のばらつきにより、標準偏差に換算して28%から45%程度の相対的不確かさを持つことがわかった。今後は、本研究で得られた不確かさ評価結果をもとに、ADSや核破砕中性子源施設の核設計および遮蔽設計の信頼性評価を実施する。
平田 雄一*; 大西 明*; 奈良 寧*; 城戸 俊彦; 丸山 敏毅; 大塚 直彦*; 仁井田 浩二*; 高田 弘; 千葉 敏
Nuclear Physics A, 707(1-2), p.193 - 212, 2002/08
被引用回数:10 パーセンタイル:51.1(Physics, Nuclear)12GeV陽子が金ターゲットに入射して生成される中間質量フラグメント(IMF)生成の解析を、輸送モデル(JAM/MF)と新たに開発した非平衡パーコレーションモデルを用いて解析した。このモデルにより、IMFの質量分布だけでなく、IMFの生成が20fm/程度の短時間内に起こるとするとIMFの側方ピークが説明できることがわかった。このような短時間内では、残留核の非加熱部分はドーナツ型の形状を有し、それがその後クーロン反発により崩壊することで側方ピークとなる。
中原 康明; 筒井 恒夫
JAERI-M 82-198, 73 Pages, 1982/12
非均質媒質中において加速器などから打ち込まれる高エネルギー粒子(陽子、中性子等の核子およびパイ中間子等)によって発生する核反応(核破砕、核分裂、蒸発)およびその結果放出される粒子の輸送過程のモンテカルロ法によるシミュレーション計算を行うコードシステムNMTC/JAERIが開発整備された。NMTC/JAERIの土台となったコードシステムはORNLで開発されたNMTCにLANLおよびBNLにおいて改良が加えられた1978年版である。JAERI版では新たに統計モデルによる核分裂反応が蒸発過程との競争過程として組込まれるとともに、ターゲット/ブランケット中に存在を許される核種の質量数Aが{A=1;8≦A≦239}から{A=1;6≦A≦250}に拡張され、LiやBeのような軽い核およびPu-240以上の超ウラン元素核種を含んだ体系に対する計算もできるようになっている。
岩元 大樹
no journal, ,
JENDL等の評価済み核データライブラリに含まれる核データは、特に高エネルギー領域において評価値と実験値との間に乖離があることが指摘されている。これらのデータの精度を向上させるには、核データ評価コードの物理モデルを高度化することが重要であるが、従来の手法では多大な時間と労力を必要とする。そこで著者らは、ガウス過程と呼ばれる機械学習に基づいて核データを推定する手法(G-HyND)を開発した。この手法は実験データと核反応モデルに基づく解析データから構成されるデータを訓練データとして学習する。本研究では、この手法を陽子入射核種生成断面積の推定に適用した。訓練データとして核反応実験データベースEXFORに収録されている実験データとJ-PARCにおいて著者らが最近取得した実験データ及び核反応モデルINCL4.6/GEMによる解析データを使用した。推定したデータの一部を、次期JENDLであるJENDL-5の核反応データとして収録した。